もしも忘れるために頑張ること

2020年07月28日

ちょうどいい関係

私たちはあのままだったら
終わりがなかった。

なぜなら会うのは年に2〜3回だし
LINEですら月に一度あればいい方。
つまり、接触が少ないから摩擦がない。
会ったときに楽しく話して
たくさん笑って
思う存分、抱き合えたらそれで良かった。

揉めないから終わりようがない。
こんな都合のいい関係、終わる必要がない。
彼はたぶんそう思ってた。
私ですら、割にそう思ってた。

私も彼も今の生活になんの不満もなく
仕事も家庭も大切にしてて
おい、だったら不倫するなよ?と言われても
仕方ないほど、円満な暮らしをしている。

でもだからこそ
私も彼も「たまのお楽しみ」というか
「とっておきのご褒美」的なものが必要で
その相手に私は彼が、彼は私がちょうど良かった。

好きで好きでたまらない、とか
連絡がないと何も手につかない、とか
そんなふうに思ったこともなく
いつも安定していたし
お互いが生活に介入しない存在であることに
安心も信用もあった。

言うなれば
恋ではなかったと思う。
不倫を恋と呼んでいいならね。

どちらかというと友情。
恋愛感情よりも信頼関係の方がずっと強くて
私は彼を同志のように思っていたし
彼は私を戦友と呼んだ。

恋には終わりがあるけれど
友情には割と終わりがない。


とか、いろいろ書いてみたけれど
それでも私は滅多に連絡とれないことを
やっぱり寂しく感じていたし
私の送るLINEに返信がない時はガッカリした。
返信がないのが怖くて
私は彼にLINEを送らなくなった。
私たちの連絡方法は彼がたまにくれるLINEのみ。

私は何年も何年もかけて
彼の連絡の頻度に慣れていって
ここ最近はそれが当たり前になっていたけど
でも、ここに来て気がついた気がする。

私はやっぱり寂しかった。
連絡がないということよりも
彼が私をめったに思い出さないことを。

いや、たぶん思い出してはいるのだろうけど
そのことを伝える気がないことを。

音信不通が何ヶ月も続けば
私のことは忘れてしまったのだ、と
ぼんやり悲しくなったし
そこで泣いたり怒ったりする感情すらわかなくて
優しい諦めみたいなものが
私の中にいつもあった。


だから、コロナが原因じゃない。
コロナで緊急事態宣言が出て
大都会に住む彼に会えなくなったけれども
そんなの今に始まったことではない。

だけど、お互いが少し無理をすれば会える状態から
会いたくても会えなくなった状況になり
私も少し悲観的になって距離を間違えたんだなあ

そして、今
コロナのせいにして
終わらせようと思う私がいる。

そうしないとこの寂しい関係から
逃げられない。
彼にはそんなことわかりもしないだろうけど。













y120cm at 20:08
もしも忘れるために頑張ること